
#59.水と生きるってどういうこと?水源のエキスパート「サントリー」#科学系ポッドキャストの日
2026年8月5日42分
出演

TT農学ガチ勢農学修士。その後サラリーマン研究員として農と食と戯れる。Podcastはほとんど聴いてこなかったが、農食ラジオを始めてからは沼にハマり中。

ゆと農学ビギナー大学院まで物理を学んだ工学修士。新卒はベネッセで進研ゼミづくり。その後ITに軸足を移し、今は音声コンテンツに夢中。まなびガチ勢。
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編集しながら、サントリーの「水と生きる」が思っていた以上に文字どおりで驚きました。工場の地下水を数キロ先まで追い、その土地の持ち主と協定を結び、森の土をふかふかにして水を育てる。飲料メーカーが商品の外側までここまで研究しているのか、という発見が続く回でした。
「水を作る」ってH2Oを作ること? 正解は、山に水を貯めることだった
3:03 からこの部分を聴く
「水を作る」と聞いて完全に化学反応を想像したんですが、サントリーが増やしていたのは水そのものではありませんでした。

「サントリーは、水を作る取り組みをしてるらしい。」

「水を作る? 生み出す的な? 水素と酸素でH2Oみたいな?」

「違います。H2Oじゃないです(笑)。作るって言うとちょっと大げさだけど、山に蓄えられる水を増やしてる。」

「きれいにするっていうより、蓄える量を増やす?」

「そう。サントリーが使ってる水は地下水由来が多くて、地下水って森林から来るんだよね。」

「地下水って、いわゆる井戸水みたいな?」

「そう、それの森林版。湧き水も地下水だし、川の水も元をたどれば地下水。地下水はすべてのソースなんですよね。」
1000分の1の「重い水素」を追って、数キロ先の水源を探し当てる
6:34 からこの部分を聴く
ここは編集していて改めて「そこまでやるの?」となった、水源探しの執念がいちばん見えるところでした。


「水源地って、南アルプスみたいな広い話じゃなくて、『この山の北側の斜面のこの辺』みたいなレベルで特定してるらしいんだよね。」

「だいぶピンポイントで。」

「地下水だから、工場に来てる水がどこから来てるか見えないじゃん。そこで水を分析すると、水素の中に重水素っていう重いやつがたまにある。」

「重水素、名前だけギリわかんない。」

「1000個に1個くらいの割合であったりして、その割合を見ると、どの辺から来た水っぽいぞってある程度割り出せるらしい。」

「うわっ、それで水源をたどれるんだ!」

「さらに歩きに歩いて湧き水を100カ所くらい見つけて、その座標と地形データを3Dモデル化して、この辺じゃないかって特定してるらしい。」

「本気だね。」
飲料メーカーなのに、研究しているのは「炭酸」より山と地形だった
11:52 からこの部分を聴く
商品開発の会社として見ると、この研究テーマの遠さが逆にサントリーの水への本気度を感じさせるんですよね。


「個人的に面白かったのは、この水源の特定をサントリーが自前でやってるんだよね。」

「独自でやってるってところが面白い?」

「だって飲み物の会社だよ。普通だったら、どうしたらおいしいかとか、どんな条件だと炭酸を強められるかとか研究しそうじゃん。」

「確かに。そっちのほうが商品に直結しそうだもんね。」

「それが、どんな山からどんな水が出るかとか、地形的にどうかっていうのを研究してる。」

「それだけ水が大事ってことなのかね。」

「そう。水科学研究所っていうのを立ち上げて、水だけじゃなく健康やおいしさみたいな基盤研究もしてるらしい。」

「飲み物を作る前の、もっと基礎のところから研究してるんだ。」
守っている森は「自社地ゼロ」。水源を見つけてからがまた大変だった
14:11 からこの部分を聴く
水源を特定したら自分たちの土地を整備するのかと思っていたんですが、そこにも大きな勘違いがありました。

「その山をたどったところって、誰の山なの? サントリーの土地?」

「サントリーの土地、一個もないらしいよ。」

「一個もないのか(笑)」

「そう。だから誰の土地かっていうと、県とか国とかの保有地だったりする。」

「じゃあ、勝手には何もできないよね。」

「そう。自治体とか森林所有者と中長期的な協定を結んで、一緒にやるらしい。」

「そこから先も大変だね。」

「東京大学の演習林みたいな場所だったら、東京大学と提携するみたいなパターンもあるらしい。」
山手線の内側2つ分。目指すのは「ふかふかの土」という超地道なゴール
15:37 からこの部分を聴く
「森を守る」という大きな言葉を突き詰めると、やっていることは意外なくらい足元の“土”の話でした。

「結局、そこで何してるの? 水を作るというか、森を守るというか。」

「森を管理してます。もうちょっと本質に近づくと、山の土壌を適切な状態にするっていうことが目標らしいんだよね。」

「枯れないようにする、量の確保か。」

「そう。土がちょうどいい感じに水を含むようにしたい。水をキープできないと、雨が染み込まずに泥として川へ流れていっちゃう。」

「ちょうどよさが大事なんだ。」

「しかもサントリーがやってるのは合計1万2千ヘクタール。公式の言い方だと、山手線の内側約2つ分くらい。」

「そんなスペース、山を耕すとか無理だもんね。」

「だから間伐したり植えたりして光を入れて、ミミズや微生物が活動できるようにする。そうすると土がスポンジみたいになって、雨を蓄えて少しずつ地下に水をもたらしてくれる。これを水源涵養っていうらしいです。」
ここから収録は、水を守る企業活動や、複数の工場で同じ品質を作るための「水の安定性」にまで広がっていきました。
「サントリーすげー」で終わるはずが、コカ・コーラもやっていた
31:31 からこの部分を聴く
最後にちゃんと競合まで調べたことで、「サントリーだけが特別」というきれいすぎる結論にはならなかったのも、この回の好きなところです。

「サントリーすげーな、っていうオチにしようと思ってたんだけど。」

「違うの?」

「ちょっと待って、検証しないといけないと思って。同じようなことをやってる会社ないよね?って競合を調べたの。」

「おお。」

「そしたら、コカ・コーラも同じようなことをやってました。」

「さすが。さすがナショナルブランド様。」

「水源涵養をしてる面積でいうと8000ヘクタール。ただ、実際の水の量とか何カ所でやってるかまでは比較してないから、どっちがすごいとは直接言えない。もしかしたら、こういう取り組み自体がだんだん業界の標準になってきてるのかもしれない。」

「単純比較はできないけど、少なくとも同じような水準でやってるのかもしれないね。」
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